2023年、KOMORIグループは創業100周年を機に、新たな経営理念「感動企業の実現」とパーパス「プリントテクノロジーで社会を支え、感動をもたらす」を掲げました。パーパスは単なるスローガンではなく、未来に向けた羅針盤として長期ビジョン「KOMORI 2030」とも連動し、印刷を教育・芸術・経済・安心といった社会基盤を支える手段と位置づけ、企業の方向性を明確にしています。
この理念とパーパスは従業員の行動にも浸透しつつあり、製品開発やサービス提案に「社会課題の解決」という視点を定着させています。特に、若手従業員は自発的な改善提案や部門横断のプロジェクトに積極的に参加し、環境負荷低減やスマートファクトリーといったテーマに取り組んでいます。また、DXやAIを社会貢献に結びつける提案も増えており、現場からは環境対応を目的としたプロセス改善が提案され、お客様に採用される事例も生まれています。こうした動きは、企業価値の源泉である「人」の成長を象徴しています。
KOMORIグループの海外売上高比率は約70%、機械台数ベースでは80%以上を海外が占めており、海外拠点への理念・パーパスの浸透も重要な課題です。そのため、海外幹部に対しては、従来のタウンホールミーティングに加えて、2026年3月期から中計の進捗評価も含めたクォータリーミーティングを開始しました。国内ではすでに1年以上クォータリーミーティングを継続しており、管理職層にKPIへの意識変化が現れています。私はこうしたメッセージ発信の頻度を高めることで、国内外でのコミュニケーションを一層活発にし、「自走型組織」の構築へつなげていきます。
資本効率を改善し、資本コストと株価を意識した経営も重要な課題です。KOMORIのPBR(株価純資産倍率)は2022年3月期に0.38倍まで低下したのが、直近は0.7倍強へ回復しましたが、株主・投資家の期待はさらに上にあると、私は理解しています。KOMORIは資本コストを8%台と認識しており、これを上回るROEを確保することを基本方針としています。ただし、第7次中計では、ROEで6%以上を現実的な目標として、本業の収益力を維持しながら成長事業への戦略投資を推進しています。短期的には、このROE目標を2025年3月期に続き2026年3月期も達成し、次期中計においては資本コストを恒常的に上回るROEの実現を目指します。各事業では、売上高やコスト構造、資産効率、戦略投資、配当政策といったバランスの取れた目標を設定して、重点施策の達成に取り組んでいます。こうしたガバナンス改革と資本効率改善を両輪とすることで、様々な事業変革のスピードを高めることが可能になるものと私は確信しています。
私は、従業員一人ひとりが自ら考えて行動する「自走型組織」を育みながら、グローバルに広がる多様な仲間たちとともに、新しい未来を切り拓いていくため、確固たるリーダーシップを発揮していきます。そしてステークホルダーの皆さまにとって、KOMORIが常に信頼され、期待される存在であり続けるよう、今後も緊張感を持って経営に努めてまいりますので、引き続き温かいご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2026年5月
