
79期-2025年3月期業績
2025年3月期は、売上高1,111億円で前期比+6.5%の増収、営業利益は71億円で同+45.3%の増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は72億円で同+56.2%となっております。ROEは6.3%で、中期経営計画のROE目標6%を上回っています。中期経営計画で財務方針の総還元性向50%に従い、配当額は68円としました。2025年3月末の自己資本比率は66.8%で、前期末比-1.5%ptとなっております。
受注拡大とマージン改善が業績に寄与
2025年3月期は、日本国内やアジア圏が順調であったほか、昨年5月に行われた大型国際展示会『Drupa 2024』の影響により欧州のみならず中華・アジア圏も受注が好調で、加えて第1四半期に証券印刷事業で大型受注があり、その工事進行基準の効果もあって、売上が伸びました。期を通してインフレ傾向は収まらず一定のコストアップが見られましたが、販売価格の改善がこれを大きく上回り、大幅な増益で着地しています。
80期-2026年3月期計画
2026年3月期通期は、売上高1,245億円(前期比+12.1%)、営業利益91億円(同+27.8%)、親会社株主に帰属する当期利益64億円(同-11.7%)で、増収と営業増益を見込みます。米国関税政策の大幅な変更により、世界経済の先行きに不透明感が増しておりますが、当社では前期末受注残高(766億円)の確実な売上寄与とコスト削減に努め、中期経営計画で目標とする営業利益率7%(2026年3月期計画は7.3%)の達成へ向け、一層の努力を重ねてまいる所存です。尚、期初時点では上期35円、下期35円の計70円(期初時点の総還元性向58%)の配当を予定しています。総還元性向50%のほか、政策保有株式の時価評価等で当初想定より自己資本が上振れて推移している為、株主還元を強化して参ります。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本コストとROE、PBRについて
当社では、CAPM理論や株式益回り等複合的に資本コストを見積もり、7-8%程度と把握しています。現状PBRは1倍を大きく下回っており、資本コストを上回るROEを達成することを中長期的な目標としています。

収益改善への取り組み
2027年3月期までの第7次中計経営計画では、営業利益率7%、ROE 6%を短期的な目標として、第8次以降に資本コストを上回るROEを実現する為に、200億円の戦略投資枠を設けています。2025年3月期には、パッケージ強化を目的として米国・カナダで計30億円のM&Aを実施しました。
2025年3月期の営業利益率は6.4%、ROE 6.3%で、ROEは中計目標を上回りました。営業利益率も6%台中盤と中計目標に近い水準にあります。KOMORIは近年、高い成長が見込めるアジア圏に注力しています。M&Aにより、シンガポール(2014年)・インド(2018年)・中国(2019年)代理店を子会社化し商流を強化したことなどが奏功し、基盤事業の過去の施策の効果が出てきていると感じています。2025年3月期初時点でのROE計画値は中計KPIの6%を下回っていましたが、アジア収益など実力ベースの上積みによって中計KPIを上回れたことに、自信を深めております。
2026年3月期の営業利益率は7.3%、ROEは5.5%の計画です。今期は中計KPIの営業利益率目標7%を上回ることを目指しています。

今後の収益改善については、基盤事業であるオフセット市場は需要が低迷する商業印刷からパッケージ分野にシフトし、アジア圏の先にアフリカ・南アメリカを展望します。同じく基盤事業の証券印刷市場は、世界で競合1社と複占の状況、かつ当社の財務基盤が堅固であることを強みに、採用国の増大を図ります。課題の成長事業については、PEは電子基板・部品向けの採用拡大、DPSはパッケージ分野の強化と新型機の早期量産化を目指します。

経営資源の配分、計画と進捗について
中計期間の資金収支計画に対し、2年度目までの進捗は戦略投資を除き順調です。当期利益・償却費・配当・従来型の設備投資は概ね計画通りで、新規戦略投資を厳選している為、キャッシュの取り崩しが発生していない状況です。

株主還元の取り組み
2025年3月期の配当額は68円で総還元性向は50%でした。2026年3月期については、期初時点では70円の配当(総還元性向58%)を予定しています。総還元性向50%のほか、政策保有株式の時価評価等で当初想定より自己資本が上振れて推移している為、株主還元を強化して参ります。

ステークホルダーの皆様からのご意見・社内共有
投資家の皆様からのご意見は遅滞なく経営陣にフィードバックさせていただき、社内で共通の課題認識とする為、経営から管理職向けにクオータリーミーティングを実施するほか、全社員向けに社内報で経営・財務方針の共有を図っています。

第7次中期経営計画の完遂を目指し、引き続き社員一丸となり取り組んで参ります。今後ともご理解・ご支援の程、宜しくお願い申し上げます。
2025年5月