経営成績および財務分析(2025年3月期)

経営成績

当連結会計年度における世界経済は、緩やかな回復傾向が見られましたが、ウクライナや中東での地政学リスクの長期化に加えて、米国大統領選後の不確実性が影響し、先行きに対する不透明な状況が続きました。

印刷機械の市場動向は、日本においてはエネルギーコストや印刷資材・物流コスト・労働コストの上昇や人材不足が継続し、これを解決するための印刷価格への転嫁や、生産性向上・省人化等の合理化投資を進める動きが続いておりますが、売上高は生産に時間のかかる多色機や両面印刷機等の受注が多く収益認識が翌連結会計年度となるものが増えたため、前連結会計年度をわずかに下回りました。北米においては、紙幣をはじめ諸証券印刷設備の受注獲得が寄与し受注高が増加しましたが、大統領選後の金利の高止まりと、通商政策の不確実性が影響して、オフセット印刷機への設備投資に慎重な姿勢が見られたことや、受注が第4四半期に集中したこと等から売上高は前連結会計年度を下回りました。欧州ではインフレ率の鈍化や政策金利の引き下げにより景気の回復傾向が見られた中、2024年5月にドイツで開催された世界最大の印刷機材展である「drupa2024」に省エネ性能の高いモデルを開発・出展した効果もあり、売上高は前連結会計年度を上回りました。中華圏では、海外企業によるサプライチェーン見直しや、不動産不況等により内需が低迷し、商業印刷では厳しい状況が続いています。一方で、パッケージ印刷では、大手印刷会社を中心に、深刻化する労働力不足や人件費の上昇に対処するため、省人化・自動化を目的とした設備更新が進められており、売上高は前連結会計年度を上回りました。アセアンやインドを含むその他の地域では、サプライチェーン見直しによる中国からの生産拠点移転の恩恵を受け、好調な経済環境を背景にオフセット印刷機の需要拡大が続き、売上高は前連結会計年度を上回りました。

このような市場環境のもと、オフセット事業では環境性能向上や生産性向上等の社会課題解決を実現する印刷機である「リスロンGX/Gアドバンス EXエディション」を「drupa2024」にて発表しました。同機は、環境配慮仕様の採用により最大18%の消費電力を削減することができ、損紙削減や生産性向上を実現することで顧客への訴求力を高め、当連結会計年度の受注拡大に寄与しました。
証券印刷事業では、コロナウイルス感染症の影響で中断していた入札が再開され、大型受注を獲得しました。当社の持つ高い技術と品質に加え、長期にわたりサービスの安定供給を担保する当社の財務基盤が高く評価され、2023年4月から2024年6月までに合計10ヶ国の入札で200億円超の受注を獲得し、これらの結果、当連結会計年度における工事進行に伴い計上される売上高が増加しました。また、その後も順調に受注を増やし、米国ドル紙幣を印刷するBureau of Engraving and Printing(アメリカ合衆国財務省印刷局)からの受注獲得に成功しました。

以上の結果、当連結会計年度における受注高は130,897百万円(前連結会計年度比32.1%増加)となり、売上高は111,050百万円(前連結会計年度比6.5%増加)となりました。売上原価率は、品目別売上構成の違い等により、前連結会計年度に比べ良化しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、5月に国際展示会が開催され広告宣伝費が増加したこと、売上高の増加に伴う販売手数料が増加したこと、企業結合等により増加しました。その結果、営業利益は7,118百万円(前連結会計年度比45.3%増加)となりました。経常利益は7,617百万円(前連結会計年度比12.1%増加)、税金等調整前当期純利益は9,163百万円(前連結会計年度比57.8%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,248百万円(前連結会計年度比56.2%増加)となりました。

また、海外売上高は77,128百万円(前連結会計年度比10.7%増加)で、売上高に占める割合は69.5%となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

a. 日本

セグメントの「日本」には、日本の国内売上高と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、中華圏の一部を除くアジアと中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は82,736百万円(前連結会計年度比7.6%増加)となり、セグメント利益は7,033百万円(前連結会計年度比58.8%増加)となりました。

b. 北米

セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は9,295百万円(前連結会計年度比20.5%減少)となり、セグメント利益は8百万円(前連結会計年度比98.9%減少)となりました。

c. 欧州

セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社グループ及び欧州の印刷後加工機製造販売子会社グループの売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は25,190百万円(前連結会計年度比7.8%増加)となりましたが、展示会「drupa2024」による広告宣伝費の増加等により、セグメント損失は776百万円(前連結会計年度は168百万円)となりました。

d. 中華圏

セグメントの「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は15,991百万円(前連結会計年度比3.2%減少)となりましたが、セグメント利益は259百万円(前連結会計年度は230百万円の損失)となりました。

e. その他

「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は5,892百万円(前連結会計年度比30.9%増加)となり、セグメント利益は411百万円(前連結会計年度比28.6%増加)となりました。

財政状態

資産

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,327百万円増加して172,915百万円(前連結会計年度比3.2%増加)となりました。資産の主な増加要因は、現金及び預金の増加8,358百万円、リース資産の増加1,125百万円、機械装置及び運搬具の増加1,050百万円、退職給付に係る資産の増加949百万円、のれんの増加811百万円等であります。主な減少要因は、投資有価証券の減少3,966百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少3,923百万円等であります。

負債及び純資産

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,294百万円増加して57,416百万円(前連結会計年度比8.1%増加)となりました。負債の主な増加要因は、契約負債の増加4,152百万円、未払法人税等の増加1,288百万円、固定負債その他の増加1,077百万円等であります。主な減少要因は、繰延税金負債の減少1,776百万円等であります。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,032百万円増加して115,499百万円(前連結会計年度比0.9%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、自己株式の消却1,947百万円、利益剰余金の増加1,873百万円、退職給付に係る調整累計額の増加988百万円であります。主な減少要因はその他投資有価証券評価差額金の減少3,480百万円等であります。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の68.3%から66.8%(前連結会計年度比1.5ポイント減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,157.34円から2,176.81円(前連結会計年度比19.47円の増加)となりました。

キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ7,736百万円増加し、57,400百万円(前連結会計年度比15.6%増)となりました。

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が8,051百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ25,069百万円増加し、17,018百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益9,163百万円、売上債権の減少額8,590百万円、減価償却費2,297百万円等であり、資金減少の主な内訳は、投資有価証券売却益1,764百万円、法人税等の支払額1,358百万円等であります。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が483百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ5,265百万円減少し、4,781百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、事業譲受による支出2,569百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出2,276百万円、定期預金の預入による支出2,138百万円、投資有価証券の取得による支出1,066百万円等であり、資金増加の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入1,878百万円、定期預金の払戻による収入968百万円、有形及び無形固定資産の売却による収入443百万円等であります。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が4,874百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ564百万円減少額が縮小し、4,310百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、配当金の支払額3,461百万円、短期借入金の純減額407百万円、リース債務の返済による支出353百万円等であります。

研究開発活動

研究開発は当社グループの事業戦略において重要度の高い活動です。
当社グループは事業戦略上重要な活動として次の研究開発に取り組んでいます。

  1. オフセット印刷の品質・生産性向上技術開発
  2. 紙幣印刷機の関連技術開発
  3. 高い生産性を有するデジタル印刷機の開発
  4. 革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術開発
  5. 環境対応の要素技術開発

当連結会計年度における当社グループの重要な研究開発成果は次のとおりであります。

1.オフセット印刷の品質・生産性向上技術開発

株式会社SCREENグラフィックソリューションズ(SCREEN GA)と、KP-コネクトアライアンスプログラムのパートナーとして連携強化に合意し、自動化ワークフローの運用を開始しました。製造業の人手不足対策として、人員の最適配置・負荷低減が求められる中、印刷業界でもDX化が急務となっています。印刷前工程のパートナー企業であるSCREEN GAのワークフローRIP「EQUIOS」と「KP-Connect Pro (KP-コネクト プロ)」の連携により、前工程の自動化、省力化、省人化を推進しています。これは、印刷全体の工程最適化と生産性向上に大きく寄与するものです。

つくばプラント内にある小森グラフィックテクノロジーセンター(以下、KGC)をリニューアルし、「印刷工場の仮想スマートファクトリー」 (以下KGCスマートファクトリー)としての活動を開始しました。印刷業界は、小ロット・短納期化をはじめとするニーズの多様化、資材・エネルギーコストの上昇や人材確保の課題に直面しています。当社グループは、機械単体の生産性だけでなく、印刷工場全体の生産性を向上させる「スマートファクトリー化」を推進しています。KGCスマートファクトリーは、「中央管制室」を備え、工場全体の集中監視と作業指示が可能です。「KP-Connect Pro」を中核ソフトウェアとし、スケジューリング、プリプレス、プレス、ポストプレス、カラーマネジメント、品質検査、構内物流に至る全印刷ワークフローの自動連携を可能にします。

菊半裁寸延オフセット枚葉印刷機「 LITHRONE GLX29 advance(リスロンGLX29アドバンス)」(以下、GLX29A)を開発しました。GLX29Aは安定した給排紙性能を備え、厚紙を含めた高速印刷に対応します。メイクレディ時間の短縮、損紙の低減を推し進め、世界最高クラスのROIを実現します。また、オペレーションスタンドのインフォメーション画面を刷新したことで、オペレーターをより強力にサポートし、作業効率を向上させます。環境技術により、電力削減や損紙低減を叶え、温室効果ガス(GHG)の排出量を削減する環境配慮型のオフセット印刷機です。

2.紙幣印刷機の関連技術開発

KOMORI 100周年記念ハウスノートが、「High Security Printing EMEA」にて最優秀ハウスノートアワードを受賞しました。ハウスノートとは、本物の銀行券と同じセキュリティープリントテクノロジーを用いて印刷された、特殊印刷サンプルです。当社がこれまで築き上げたセキュリティープリントテクノロジーを結集させたデザインで、オフセット印刷機「CURRENCY LC(カレンシー LC)」、凹版印刷機「CURRENCY IC(カレンシー IC)」、デジタル印刷機「Impremia IS29s(インプレミアIS29s)」にて印刷され、デジタル印刷及びスマートフォンのアプリを使用した認証機能等の最新技術と実績のある偽造防止技術を組み合わせた表現を可能にしており、今後の偽造防止技術の可能性を示しました。

3.高い生産性を有するデジタル印刷機の開発

前連結会計年度に開発し、drupa2024にて発表を行った、世界最高クラスのROIを実現するB2枚葉UVインクジェットデジタル印刷機「J-throne 29(ジェイスロン29)」に対する市場の期待は非常に高く、当連結会計年度は円滑な市場投入に向けた最終調整の開発を進めました。「J-throne 29」は、片面毎時6,000枚の印刷スピードを実現しながら、イメージング技術に独自開発の画像形成機能を融合させるとともに、新規開発の専用UVインクによる幅広い印刷適性と高い生産性を備えており、2025年5月に中国・北京にて開催されたChina Print 2025にも出展しました。

4.革新的なPE(プリンテッドエレクトロニクス)技術開発

国立大学法人山形大学(以下、山形大学)と、基礎学術から事業化・人材育成、交流・施設装置の活用まで範囲を広げた包括連携協定を締結しました。山形大学と当社グループは、これまで有機ELの電極印刷、フレキシブルハイブリッドエレクトロニクス(FHE)での導電配線印刷等の研究開発で連携してきました。今後は新しい技術分野として、微細配線技術に加え薄膜塗工技術を共同で研究開発し、具体的には、次世代太陽電池や次世代二次電池に向けて、印刷材料開発(山形大学)と印刷装置開発(当社グループ)、印刷プロセス開発及び試作品作製(共同)を行っていきます。

5.環境対応の要素技術開発

気候変動対策を主軸とした研究開発に積極的に取り組んでいます。
オフセット印刷機の印刷品質と消費電力削減の両立に着目して取り組んでいたインキローラー配列の最適化、エアー源の高効率エアーシステムの開発、給紙部への加湿システムの開発を実用化し、オフセット印刷機への搭載を進めたことにより、消費電力削減による温室効果ガス排出量削減と高い印刷品質、生産性の両立を実現しました。

設備投資等の概要

当連結会計年度の設備投資総額は2,600百万円であり、セグメントごとの設備投資について示すと、次のとおりであります。

(1) 日本

当連結会計年度の主な設備投資は、建物及び構築物、機械装置、工具、器具及び備品の取得を中心とする総額2,052百万円となっております。
なお、重要な設備の除却及び売却はありません。

(2) 北米

当連結会計年度の主な設備投資は、構築物の取得を中心とする総額71百万円となっております。
なお、重要な設備の除却及び売却はありません。

(3) 欧州

当連結会計年度の主な設備投資は、建物及び構築物、機械装置、工具、器具及び備品の取得を中心とする総額414百万円となっております。
なお、重要な設備の除却及び売却はありません。

(4) 中華圏

当連結会計年度の主な設備投資は、機械装置、工具、器具及び備品の取得を中心とする総額53百万円となっております。
なお、重要な設備の除却及び売却はありません。

(5) その他

当連結会計年度の主な設備投資は、機械装置、工具、器具及び備品の取得を中心とする総額9百万円となっております。
なお、重要な設備の除却及び売却はありません。

今後の見通し

当社は、長期的展望に立ち、経営基盤の充実と将来の事業拡大のための内部留保の確保を念頭に置きながら、株主の皆様に対し安定かつ充実した利益還元を継続的に行うことを最重要課題の一つと認識しております。
2026年3月期の配当につきましては、業績の予想に基づき1株当たり中間配当金35円、期末配当金35円、年間70円配当とさせていただくことを予定しております。

当社グループの事業環境につきましては、依然として不確実性が高く、地政学リスクや経済の変動に対して都度、迅速な判断、軌道修正が必要となります。印刷業界においては、出版印刷分野や商業印刷分野での印刷物は減少が予測されるものの、高付加価値印刷やパッケージ印刷の需要は堅調に推移することが予測されております。特にアジア地域においてはパッケージ印刷を中心に需要が高まっており、好調に推移することが予測されます。一方で、材料費や物流費の高騰、労働力不足、気候変動対策に伴う温室効果ガス排出量削減等の課題が依然として存在しており、これらの課題に対する迅速な取組みが求められています。ワンパス両面機、多色機、検査装置等の高付加価 値機能による生産性向上の取組みや、消費電力低減等の環境性能向上の取組みがより一層求められております。

このような事業環境の中、2026年3月期は第7次中期経営計画の中間年であり、その基本骨子であるサステナブルな経営体質に向けた事業変革と経営基盤強化を推進してまいります。オフセット事業においては、環境性能向上とともに、生産性、操作性を高めた「リスロンGX/GアドバンスEXエディション」を昨年市場投入しましたが、さらなる高付加価値印刷実現に向けた両面コーター、疑似エンボス等の要素技術の市場投入を進めてまいります。また、「KP-Connect」を中核としたスマートファクトリー構想の具現化を進めており、生産現場の「見える化」「自動化」「整流化」を実現し、生産性の最大化、環境、人財不足への対応に取り組んでまいります。一方、DPS事業については、B2サイズではクラス最速となる、片面印刷毎時6,000枚の印刷速度を実現するB2枚葉UVインクジェットデジタル印刷機「J-throne 29」を市場投入し、デジタル印刷の常識を覆す圧倒的なスピードとパフォーマンスで、世界最高クラスのROIを実現します。また、証券印刷事業については、今まで培ってきた銀行券印刷のセキュリティ印刷技術をさらに強化するとともに、国・企業・個人のアイデンティティーを守る新しいソリューションの提供を目指してまいります。PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業は、迅速に技術開発を進めるためにパートナー企業との共同開発や産学連携によるオープンイノベーションを推進し、新たなアプリケーション開発を進めてまいります。

環境への取組みとしましては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく気候変動に関するリスク・ 機会の分析、グループ全体のCO2排出量の削減、環境配慮型の製品開発等の施策を実行し、持続的な成長につなげてまいります。また、KOMORIが持続的に企業価値を向上し続けるためには、人財を最も重要な「資本」として位置づけ、従業員エンゲージメントを向上させる取組みが必要不可欠であると考えており、その根幹を「K-Work」(KOMORI流働き方改革)と名付け、「働きやすい職場環境の整備」「人財マネジメントの強化」「ダイバーシティの推進」を三本柱として段階的に改革を実行し、グループ全体で人的資本の強化に努めてまいります。従業員エンゲージメントの強化として、「従業員エンゲージメントサーベイ」を実施し、サーベイを通じて把握した課題に取り組むことで、エンゲージメントの向上を図り、離職防止や生産性向上、業績改善等の成果を目指します。これら 持続可能な社会実現への活動については、今後もさらなる取組みの強化を行ってまいります。

2026年3月期の連結業績予想につきましては、米国における関税の影響については、連結売上高に占める米国の割合が10%前後で推移していること、既に受注済みの証券印刷機・パッケージ印刷機の大型商談について関税負担の顧客受入れが確定していること、米国にオフセット印刷機メーカーがなく欧州の競合他社も関税の影響を受けること等により、軽微と予想されます。一方、長期的には米国の関税に伴う世界経済への影響が想定されますが、不透明な要素が多々あり、現時点での業績予想には織り込んでおりません。為替レートを1ドル140円、1ユーロ150円を前提として、売上高1,245億円、営業利益91億円、経常利益89億円、親会社株主に帰属する当期純利益を64億円としております。